前回は、庇やシェードの設置が夏や中間期の冷房負荷を減らすのに有効な事を書きました。
今回は、「じゃあ実際どうなの?」
という内容について、実際に当社で設計し、建築をし、
HEMSと呼ばれる機器で実測をした内容をもとに、ご説明していきます。
まずは、窓の外にルーバーやシェードのないお宅の実測値。
私がこの会社で唯一、窓外にルーバーやシェードをつけなかったお宅です。
高台にあり、眺望を重要視された事。
外観上、ルーバーやシェードをつけたくないご希望が強かった事。
ルーバーやシェードの予算を他にまわしたいご希望が強かった事。
強いご希望があり、窓の内側にハニカムシェードと呼ばれる 断熱カーテンを設置していただく事で、
私が妥協しました・・・。
このハニカムシェードは、2重の空気層があり、室内側でも70%カットできます。
ちなみに、室内のカーテンなどでは60%カットです。
外付けのルーバーやシェードが85%程度のカットですので、ハニカムシェードはかなりカットできる方ですが、
それでも一旦室内に熱を入れてしまっているので、体感温度も上がります。
さて、この住宅が実際どのように暮らしているかを見てみましょう。
UA値は0.42 延床面積127㎡ LDKなどの床面積は40㎡の住宅ですが、
暖房が7842MJ 延べ床面積当61.5MJ/㎡ であるのに対して、冷房が11235MJ 延床面積当たり88MJ/㎡
と1.4倍程度となっています。
実際の室温とエアコンの消費エネルギーを見てみます。
深夜は消して、7月平日は日中エアコンを消して16時くらいからつけて、土日はずっとつけている模様。
8月の平日は、日中からつけている日もある模様。 暑い日が続きますからね・・・。
若干室温が高いような気がしますが、体感温度は人それぞれです。
若干室温が高いのに、かなりの冷房負荷が高いようです。
比較事例ですが、
庇とシェードをつけた住宅で、先の住宅よりも大きく、延床面積165㎡ LDKなどの床面積は78㎡あります。
冷房エネルギーは、床面積が大きいのにもかかわらず、
先の住宅の約半分になっています。
暖房が12228MJ 延べ床面積当り74MJ/㎡ 冷房が5600MJ 延べ床面積当り 33.93MJ/㎡
合計 107.93MJ/㎡
で先の住宅が、
暖房が7842MJ 延べ床面積当61.5MJ/㎡ であるのに対して 冷房が11235MJ 延床面積当たり88MJ/㎡
合計 147.5MJ/㎡
なので、暖房はルーバーやシェードがない分、先の住宅の方が少ないですが、
冷房は、圧倒的に窓外にシェードやルーバーがある住宅の方が減っています。
約2.6倍もの差があります。
ちなみに室温と消費エネルギーですが、
27℃程度の快適室温で 消費エネルギーも少なくなっています。
周囲の建物状況により、一概には言えませんが、
室内にハニカムシェードが無かったら、もっと大きな差が生じていたことと思います。
やはり、
「太陽熱は窓外で遮る」
が鉄則になります。
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