パッシブデザインにおいて重要なのは、実測とシミュレーションです。
いくら断熱性能を上げて パッシブ設計をして南の窓をつけても
周りの住宅や自分自身の住宅の日影の影響で 南の窓が日影になっていれば
冬の太陽熱で室温を上げる パッシブデザインは成立しません。
南の窓に陽が当たらないのであれば ただの高気密高断熱でいいのです。
各室で部分間欠冷暖房を行う住宅で
パッシブデザインをやっている住宅とそうでない住宅の比較は
私がパッシブデザインでやっていない住宅の実測データがないので 何とも言えませんが
シミュレーションでいけば 35坪前後の一般的な住宅で約40000MJくらいの差があるので
40000MJ÷9.76(変換係数)=4098kWh × 33円(今現在の概算の電気単価)=135,245円
となります。
ただしこの値はあくまで 国の定める一般的なエアコンの設定温度と使用時間で想定しています。
設定温度と使用時間が増えれば 冷暖房費は増えますが
全ての住宅を同じ条件で比較した場合のさとなります。
さて、巷ではやりの全館空調・全館連続暖冷房の光熱費はどうか?
私のスタンスは
①使用していない部屋を常時冷暖房する必要があるのか?
②実測していても 洗面室など暖房していない部屋でも15℃以下になる事はほとんどない。
ほぼ18℃以上ならそれで良いのでは?
プランやエアコンの運転スケジュール(設定温度と使用時間)によってはほぼ20℃以上
③連続暖冷房は快適だが、光熱費が増えるのでお勧めしない。
④とはいえ、家全体で快適にしたいという方には、全館空調や全館連続暖冷房は断らない。
というスタンスです。
SNSやYouTubeではあたかも断熱性能が良いと 全館空調や全館連続暖冷房が良いとの投稿がありますが
実際の実測値は載っていないものばかりです。
シミュレーション上は、明らかに部分間欠冷暖房の方が消費エネルギーは少なくなります。
いい加減な投稿を信じてしまうお客様が多い事に 憤りを覚える毎日です・・・
全館連続暖冷房にするのであれば 最低限G3の高断熱
断熱等級7の最上級にするべきです。
それでも国の省エネソフトで計算をすると G2の部分間欠冷暖房より G3の全館連続暖冷房の方が消費エネルギーがはるかに上回ってしまいます。
このあたりを 設計者はしっかりと説明していくべきでしょう。
実測を通して、エアコンの設定温度や使用時間を済んだ後に提案し
さらに快適と省エネ住宅を実現して頂きたいです。
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