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木村コラム|シミュレーションと実測2

エビデンス(シミュレーションと実測)に基づく     
住宅の室温とエネルギー最適化研究会(SITE-One)

という集まりで お話をさせて頂きました

代表は東京大学の前先生

副代表は師匠の野池さん

幹事が新建ハウジング社 の三浦社長

という住宅業界ではトップの3人からのご要望でお話をさせて頂きました

内容的には、断熱性能がどうのこうのではない

断熱性能はもちろんだが パッシブ設計をちゃんと

日照シミュレーションや計算などのシミュレーションから行い

実測をしてみて ちゃんと結果が出ているかを見る住宅業界にしていこうというもの

如何に快適な室温を小さなエネルギーで実現しているかを見る会議です

その最初の発表者に選ばれて光栄です

今日はその内容について書いてみます

 

パッシブ設計のアプローチについて
~「岐南町コートハウス」SIM・実測・検証~

私どもでは、標準的にパッシブ設計を行い
G2.5前後でηACとηAHをバランスよく設計し、付加断熱は基本的にはせず、連続暖冷房の場合は付加断熱のG3
南の窓から太陽熱を入れる日射取得熱利用に重きを置いてる

如何に快適な室温を小さなエネルギーで実現するかに重きを置いている

と冒頭で説明させていただきました

 

まずは日射量の確認を行います

 

◇該当地域の日射量の確認(岐阜県岐南町)


冬の南面の日射量多い!
南に窓を設けることが有効なエリアかを確認
➡夏より冬の方が日射量が多い

以上がこのデーターからわかります
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冬の東面の日射量は少ないので南窓が重要なのがわかります


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冬の西面の日射量も少ない8

夏の屋根面の日射量も確認
➡屋根断熱が大事なのがわかります

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次に敷地の日照シミュレーションです

 

1:敷地日照シュミレーションで日影ラインを確認

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そして、スケッチ

私は上手には描かない

脳に描いたものを吐き出すイメージ

一応 京都芸術だ


2:南の窓をどこにするかをゾーニングし、外観のボリュームも同時に考える

ゾーニング(3通りくらい色々なアプローチで考える)
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断面計画と日照シミュレーションをスケッチで検討
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同時に外観デザインと日照シミュレーション検討
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袖壁も南壁からの影響も多い(FL+3000程度)
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外観デザインと日射取得を考えながら違う手法を検討する

 

斜め壁にして袖壁からの日影の影響を少なくすることを検討
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斜め壁で袖壁の日影の影響は減少
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だが、南影の日影の影響は残る(FL+1015まで)
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さらにデザインと日射取得を考えながら検討を重ねる
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南壁も斜めにして日射が入りやすく
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南影の日影の影響は減少(FL+390まで)
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最終的には土壇場で構造計算の耐風圧計算で屋根庇を設置
(梁を何本か通すのをお客様が拒否)
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事前に高窓をつける想定であったので、詳細窓面積計算を行う
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外観デザインと日照シミュレーションを繰り返し検討
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これだけやっていることに みなさん感心して頂いた

3. 主たる居室の南の窓面積を 主たる居室の床面積の20%以上が目標

手書きプランで約78㎡の主たる居室

主たる居室の必要南窓面積:78㎡×0.2=15.6㎡

4m×(1.1+1.2)m=9.2㎡
0.23m×1.1m=0.25㎡
1.62m×1.5m=2.43㎡
合計 11.88㎡ 15.2%

本来なら、メインの窓が
4m×3.1m=12.4㎡
合計 15.08㎡  ほぼ20%であった・・・

正直、社内ルールには達していないですがお客様がこれで進めたいと・・・

 

 

アーキトレンド図面を3DSにて変換しスケッチアップで見てみる
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4:アーキトレンドでプランとCG

配置図
方位
各室面積(吹抜けも)
窓の種類
ガラスの種類
付属部材

を必ず記入しています

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5:Energy ZOOへ
最終プランが決まる前に窓の大きさや断熱仕様変更

UA値・ηAC・ηAHと自然室温のシミュレーション
一次消費エネルギーの計算

 

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自然室温(無暖房無冷房)のシミュレーション
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お客様はTVコンクリート壁など蓄熱を希望されたが、南の日射熱取得量が予定より少なかったため、自然室温が上昇しないので蓄熱利用はやめていただいた(6地域・H3地域でもあった)
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一次消費エネルギーの計算(付属部材を加味)
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以上 省エネ基準は合格でした!

これを全住宅一覧表にしています

一覧表の作成

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微修正が終わったらアーキトレンドでCG作成
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場合によっては、アーキ ➡ ライノセンス ➡ ツインモーション
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6:見積はアーキトレンド図面をK-engineに簡単移行

5分で数量あるものを積算
細かな棚や造作などは自分で手入力
30分程度で完成

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7:最終プランが決まれば ホームズ君
(アーキトレンドの図面をデータ移行)

暖冷房の運転スケジュール

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冬の目標室温とエアコンの設定温度と評価時間帯
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LDK間欠暖冷房:一日中の温度分布と在室時の温度分布
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寝室間欠暖冷房:一日中の温度分布と在室時の温度分布
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洗面無暖冷房:一日中の温度分布と在室時の温度分布
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シミュレーション一覧表の作成
➡シミュレーション一覧で感覚を養う
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完 成 写 真
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次に実測のお話をさせて頂きました

実 測

気密測定:C値0.48でした
HEMS:全棟Panasonic製のAiSEGを設置しています
室温と湿度、消費エネルギーを測定

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HEMSはこれまで電力の見える化
という観点での商品と思っていた…

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制御に注目したい

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お客様が制御ではなく、自動制御の時代へ

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本当の性能を公開する時代へ

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給湯エネルギーを減らせ!

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温度の下がりすぎ、上がりすぎないうちにON

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パッシブデザインで住まい手任せを自動に
パッシブ+暮らし方のアクティブ

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SIMした結果を確認・分析・検証・改善へ

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パッシブデザインハウスのメリットをIT技術でデータ収集

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そして 実測結果

年間エネルギー消費
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一次消費エネルギーのWEB算定と実際と
エアコンの運転スケジュールも設定温度も違うので
一喜一憂しない事に・・・

➡快適室温が高ければ、消費エネルギーは増えてしまう(赤ちゃんも原因に)
➡大事なのは、室温と消費エネルギーのバランス
➡太陽光発電がついている場合には、昼間かなりエネルギー消費している

国の想定しているエアコンのスケジュールだが

こんなのはあり得ないですに

みなさんうなずく・・・

74提供:野池政宏氏

 

一次消費エネルギーはホームズ君の結果を入力し、その他は一次消費エネルギーのWEB計算の数値で表すのが良いのではと野池師匠
➡その通りかと・・・

 

年間エネルギー消費
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6地域 冬の代表的な晴れた日の室温湿度エアコンの消費エネルギーをグラフに

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室温が何度でエアコンエネルギーをどのくらい使っているかを

月別 時間帯別に表現

前先生が目を見開く

最後のコメントで 研究者以上に分析していると評価頂いた内容

LDK:暖房期間の室温・湿度・AC消費エネルギー(在室色分)
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在室時間を濃くしている

薄い時間は寝ている時間なので ほぼ暖房を使っていない

LDKは平均22℃前後 朝方1000W程度使うが あとは400W前後と少ない

また、太陽熱が出ている時間はW数が減っている

次に寝室

寝室・暖房期間の室温・湿度・AC消費エネルギー
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寝室は夜中寝ている間は暖房をつけて24℃で過ごされている

赤ちゃんがいる為 かなり高い室温

日中は消しているが 22℃近い かなり優秀

寝室にも南窓があるのと LDKに隣接している為 その暖房エネルギーの影響を受けている

 

洗面:暖房期間の室温・湿度
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無暖房 非居室の 洗面ですが

ほぼ18℃以上

LDKは日射熱の取得と暖房で暖かいのでその熱の影響で 壁一つで隣接する洗面所も暖かい

今後プランするのに重要だ

同じように冷房期を見てみた

まずは夏の代表的な晴れた日

6地域 夏の代表的な晴れた日

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各部屋安定した涼しさと少ない消費エネルギーです

 

次にLDKの月別時間別平均値

LDK:冷房期間の室温・湿度・AC消費エネルギー
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27℃前後で200W前後の消費エネルギーだが

8月の真夏で午後の暑い時間帯は350W程度まで使用している

寝室:冷房期間の室温・湿度・AC消費エネルギー
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寝室は26℃台とLDKより涼しく過ごされている

しかしながら100Wくらいの少ない消費エネルギーで過ごされている 扇風機1台並みのエネルギーで快適に過ごされている

洗面:冷房期間の室温・湿度
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洗面所も27℃前後で過ごされている

冷房はしていないが北側にある部屋は涼しいのと

LDKの冷房の恩恵を受けている

 

以上の室温を室温分布にしてみた

左が一日中 右が在室時

 

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次に実際のエアコンの運転時間や設定温度に合わせてシミュレーションを動かしてみた

 

一次消費エネルギーの計算 暖冷房はホームズ君が実際に近い!

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今回は暖冷房は上手く合わなかった・・・
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シミュレーションと実測を繰り返した私が感じた事をまとめた

シミュレーションと実測結果をプランに活かす

■衣類乾燥機の消費エネルギーが多い。
➡陽の当たるランドリールームをプラン。

■1階LDKのお宅は、2階の寝室はほとんど暖房をつけていない。
➡安易な2階LDKは避けて、1階LDKで吹抜けを考えた方がいいのでは?
(暖かい空気は上昇する・冷房より暖房エネルギーの方が多い事も考慮)

■2階LDKで1階に寝室や子供室で、日射量がない家は室温が上がっていない。
➡LDKの日射取得にこだわってきたが、その他の居室の日射取得も重要。

■寝室・子供室も床面積の20%程度の南窓を設けるようにプラン。

■在室の長い非居室・着衣量を少ない非居室の室温を上げたい。
➡暖房室に接したプランニングを心がける(2枚以上の壁を減らす)
➡狭い部屋は主たる居室に取り込んで考える(洗面脱衣浴室扉の解放)
➡外壁に接する部分を減らしたプランニングを行う。

 

 

実測データをグラフにしてみたり、自分なりに表にしてみたりしているうちに

実際に、自分が設計した住宅で、お客様がどのような快適室温と消費エネルギーで暮らしているかを見るのが非常に楽しい。

プランの考え方も変わってきた。

そして、ここまでやってくると、やはり空調と換気をどうやるのか考えないといけないと思う。
(私にとっては、実に興味がない話だが・・・)

ただ、何が正解なのか未だにわからない。

いろんな仮説も立てて、プランし、シミュレーションし、実測する事が必要。

きちんとプランとシミュレーションし、実測をした物件を沢山見比べれば見えてくるのだと思う。

地域や建物の大きさによっても、もちろん断熱性能によっても快適と省エネのバランスは異なる。

顧客の快適度も違うので、室温と消費エネルギーの実測結果をどう表現したら良いかに苦しむ。
私はG2.5だが、やはりG3の方が良いかもしれないし、G2でも良いかもしれない。

せっかく断熱性能を向上させたり、パッシブデザインを駆使し消費エネルギーを減らしたのに、全館空調や連続運転をして、消費エネルギーが増えている現状あるが、顧客の快適室温は上げてあげたい・・・

沢山のプランとシミュレーションと実測データと空調換気方式等を、全国の設計者・住宅会社と共有したら、さらに見えてくると思う。ぜひお願いしたい。

自身の実測データも良いものだけでなく、今回のようにさほど良くなかったものも公開して、日本の省エネと快適に寄与したい。
設計者の一人として、社会貢献したいと考えます。

以上

 

 

「美しく、安心で快適な暮らしをこの街に!」

 

 

 

 

以上が今回のプレゼンでした!

みなさんがzoom越しに拍手頂きうれしかったです!

 

 

 

 

 

 

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