前回は、「平面は秩序 断面は欲望」
という、私の意匠設計の師匠 建築家 岸和郎先生の言葉を
省エネ設計を合わせて考えた 私の設計の進め方をお伝えしました。
今回は、これまた岸和郎先生の
「映画監督になったつもりで、住まう人が 場所場所で色んな風景を見ながら住める プランを考えろ」
という教えについて、お伝えします。
これを踏まえて、私がプランを考える上で重要視しているのは、
C T F
Cは、Car 車
Tは、Tree 木
Fは、Design Fliow 設計動線
です。
これを考えながら、プランニングをしていきます。
駐車場(徒歩の場合は徒歩)から玄関を入り、
どうLDKなどに、アプローチをするか。
この住宅では、玄関がどこにあるかわかりません。
階段を右に北に上り、左に西に折れて、さらに南を向いて玄関ドアを開けると、
その先に、中庭と木が見えます。
実は、この玄関の土間は、蓄熱利用により、玄関を暖かく 且つ 玄関の室温を安定させる作用も持っています。
この短い動線ながら、折れ曲がって室内に入るのを、
建築設計の中では、
「受ける いなす」
などと呼んでいます。
このくり返しが、豊かな空間を作り上げます。
玄関を右に西に折れると、
その先には、若干 暗めの玄関ホールがあり、
そこを抜けて、LDKの扉を開けると、
1.5階の天井高さのリビング・ダイニング空間と、天井を少し落としたキッチンの空間があります。
この明るいと暗い、高いと低い、いろんなコントラストを作る事によって、
風景の違いや、空間のアクセントにより、住宅に色んな表情を与えています。
明るいところばかりでは、明るさが際立ちませんし、
高いところばかりでは、低さが際立ちません。
そんな事を頭に浮かべながら、プランを進めていき、さらにそこに省エネ住宅・パッシブデザインのアイデアを加えていきます。
この住宅では、1.5階のリビング・ダイニング空間と、2階の床に空いた 階間と呼ばれる空間の壁を抜いて、
2階南廊下からの日射熱を、1階LDK空間と共有する事により、冬の暖房エネルギーの削減を図っています。
LDK空間の南には、冬の日射取得と南家からの視線のプライバシーを考えた 南窓サッシ、
北には 階間の開口、
この2つの 外と内の開口をコントラストさせています。
省エネも考えながら意匠デザインを考える
実に楽しい時間です!
この記事へのコメントはありません。