シミュレーションと実測から考える快適&省エネプラン ③ 「2階LDKは避けるべし」
今日は禁断の? 「2階LDKは避けるべし」
これは なかなか書きにくい・・・
当社のお客様の中には、2階LDKの方もいるからです。
ですが、住宅には敷地条件というものがあり、
LDKに冬のLDKに日射熱を入れる事は最優先ですから
建蔽率や容積率がキツいような 名古屋の規制区域では 致し方ない場合や
LDKのプライバシーを最優先したいなどのご要望の場合には 仕方ない場合もあります。
快適と省エネがすべてではありませんので、
ただ、わかっていてやるのと わからずにあるのでは 大きな違いがあります。
私は 何度も何度も 日照シミュレーションと断面計画を繰り返して どうしても1階LDKが不可能な場合のみ
2階LDKをご提案するようにしています。
安易な2階LDKは、増エネになるからです。
それは こんな単純なお話でもあります。
暖かい熱は上昇するのは 以前からお話してきましたが、
2階LDKの場合には こんなイメージになります。
冬の昼間に2階の南窓から日射熱を入れ 夜は暖房熱を高い断熱性能で保温して LDKは省エネで暖かいが
その熱は上昇して 1階の寝室や子供室に 寄与できないのです。
実際 私が設計したお宅ですが LDKの日射熱を最優先し 建築法規も考えると
どうしても 2階LDKになってしまったお宅です。
*寝室や子供室を温める為に1階LDKにし冬の暖かさをあきらめてしまうと その暖房時間やLDKの広さを考えると
やはり増エネになってしまいます。やはりLDKに如何に昼間の日射熱を入れるかを考えないといけません。
こんなお宅で UA値は0.41W/ ㎡K ηAC1 ηAH2.4 です。
2階LDKのプライバシーを守るために 2階バルコニーの南に2m程度の壁を 南窓から2.3m離して建てています。
南窓の下半分1mは 冬の日射熱は入りませんので 2.4mの高さのうち1.4mしか陽があたらない事になります。
1.6m×2.4mの窓を3つ設置したのですが 日の当たるのは高さ1.4mなので
1.6m×1.4×3で 6.72㎡分の日の当たる南窓があります。
ので 6.72÷0.2=33.6 ㎡のLDKであればOK。
逆に考えると
LDKの南の窓は LDKの床面積の20% なので 33.6㎡×0.2=6.72㎡ となります。
このお宅のLDKは31.05㎡なので 31.05㎡×0.2=6.21㎡
以上 LDKの日の当たる窓があればよいので OKという事になります。
2階LDKは シミュレーション上はOKです。
実測はどうかというと
2階LDKの1月の 深夜0時の室温は平均で21.6℃です。
暖房は0時から5時まで ほとんどつけていないようです。
0時から5時までの室温低下は 2.1℃なので UA値が0.41 のお宅なので 昼間の日射熱の蓄熱が効いていると思われます。
日中は 18時までほぼ無暖房で20前後となっています。
一日平均で室温20.6℃ 消費エネルギー平均263Wはかなり良い結果だと思います。
ですが この時の寝室の室温は・・・
正直お客様の求める室温は様々なので 何とも言えませんが
かなり低い室温 もっと暖房を使ってもらっていいのですが
昼間の日射熱が全く入らなく LDKの熱源を利用できないと こんな結果に・・・
要は 魔法瓶に水を入れても 温まらないのと同じです。
深夜0時で13.9℃ 朝6時で12.7℃になっています。
低い・・・。
ですが、実際には6時間で1.2℃の低下なので 断熱性能が悪いわけでは決してありません。
普通に考えると UA値0.46の断熱性能6であれば 6時間で5℃低下くらいですので
6時間で1.2℃低下は卑下する結果ではありません。
もし0時で室温が20℃であれば 1.2℃低下なら18.8℃ となるでしょうから 決して悪くないのです。
ですが、昼間に日射熱が入らない事と 2階LDKの昼間の日射熱と夜の暖房熱の影響が少ない事と
お客様の求める 室温が高くない事が この実測結果に表れています。
シミュレーションと実測結果を見ていると 色々わかってきます。
この結果をしっかりと考察しながら お客様にキッチリアドバイスできるようにさらにスキルアップしていきます。
次回は、2階LDKであり 1階の寝室の室温状態が悪いので
就寝時に暖房をつけっぱなしのお宅のシミュレーションと実測結果を見てみたいと思います。
お楽しみに!
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