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パッシブデザイン・省エネ談義②

今回のテーマは「断熱性能について

省エネ性能の高い住宅というと思い浮かべるのは「高気密高断熱住宅」。そして、よくチラシなどで見かける言葉は「高気密高断熱で冬暖かく、夏涼しい」です。この言葉、嘘ではないですが、ちゃんと設計していないと実は嘘になります。

「省エネで快適な家」を作るには、次の2つの手法があります。

①断熱性能はある程度高く、南の窓ガラスは大きくする。

冬の晴れた昼間に、窓ガラスから太陽熱を入れて、その他の壁や天井(屋根)や床(基礎)などの断熱性能が高いとそれが保温されて暖かい家になります。ですがこの場合、夏の設計をしっかり考え、庇やルーバーをつけて太陽熱が家に入らないようにしないと、”ある程度高い”断熱性能が災いして、一度室内に入った太陽熱が室内に保温され、オーバーヒートを起こすことになります。ですから、庇や外付けブラインドなどで、日射を遮ってあげないといけません。

②壁などの断熱材を厚くして断熱性能を高め、壁は小さくする。

断熱性能を高める一番の方法は、壁や天井(屋根)や床(基礎)及び窓などの断熱性能を高くし、窓の面積を小さくすること。簡単に超高断熱の住宅になりますし、気密性も高くなります。

②の手法も一理ありますが、私は好きではありません。断熱性能を上げるだけの設計は、設計をしっかり行おうとする建築士のやる事ではないと考えるからです。やはり、庭に向かって大きな窓をつけて、建物と庭などが一体になった空間を設計したいものです。大きな窓をつけて、断熱性能の高いガラスとサッシを沢山使えば住宅コストを上げるだけです。家造りには、性能以外にもやりたいことは沢山あるはずです。断熱性能は適度にして、省エネで快適な室温をつくる方法は何か?それが①の手法なのです。

 では、この性能はどう表現されるのか?断熱性能はUA値やQ値という言葉で表されます。これは、小さいほうが高性能。この地域ですと、0.87w/㎡Kというのが省エネ基準で、ゼロエネの補助金をもらおうとすると、0.46w/㎡Kという数字をクリアしないといけません。当社の基準は0.46w/㎡K 以下を基本にしていて、超高断熱子住宅会社は0.28w/㎡K くらいです。ですが、省エネと室温の快適性はこのUA値だけでは図れません。実は夏に室内に入る太陽熱の量を表すηAC値と、冬に室内に入る太陽熱の量を表すηAH値で決まるのです。ηAC値は小さい方が涼しく、ηAHは値が大きいほうが暖かくなります。これを検討しない住宅会社や設計者は省エネ住宅を作れません。当社の基準では、ηAC値が1以下、ηAHが2.5以上です。もちろん目的は、前回お話をした室温目標をクリアすることなので、プランによりある程度変える場合はあります。暖冷房を使わずに、冬は朝6時で15℃以上かつ最高20℃以上、夏は35℃以下。なんともない数字ですが、この室温を目標としてクリアできる住宅会社はそうはいません。もちろんエアコン等の設備を使えば別です。

 そして大切なのが日照シュミレーションです。冬の昼間ちゃんと太陽熱が室内に入るように設計されているか?夏の昼間太陽熱が室内に入らないように設計されているか?この検討を、CG等でシミュレーションしながら、しっかりと行う必要があります。せっかく性能値が良くても、実際は周りの建物によって日影などの影響を受けるからです。是非ηAH・ηAC値を算出し、日照シュミレーションをする住宅会社と家造りをして下さいね!

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